◆キスから……◆

ここ数日、手塚は海堂の視線を感じている。
部活の練習中も、手塚を睨み続けている。
が、目が合うと、視線をそらす。
何か、悩み事か?
部長としての俺に、不満でもあるのか?
「よーし、今日はこれで上がれ、クールダウンを忘れるな」
部員たちに指示した後、手塚はクールダウンのストレッチを一人黙々とこなしている
海堂に近づき、更に付け加えた。
「それと海堂、お前は校庭10周した後、部室に残れ!」
「な、何?」
一瞬、驚いたような表情を見せた後、海堂は手塚を睨み付けたが、部長たる手塚の命令には逆らえない。
しぶしぶ校庭10周の命に従った。
「お疲れさまー」
「おい、なんか食ってこうぜ」
そんな部員たちの声を背に10周走りきった後、海堂は手塚に言われた通り、誰も居なくなった部室に入っていった。
「終わったようだな」
「はい…」
海堂は訝しげに手塚を見つめている。
「お前をここに残したのは、話があるからだ」
「話っスか?」
「何か俺に言いたいことがあるのではないか、海堂。もう皆帰って誰もいない。何かあるのなら聞くぞ」
「それでわざわざ俺だけ校庭10周走らせたんスか」
「その通りだ、海堂、お前は最近練習に全然身が入っていない。あきらかに集中力が欠けている。何か悩み事か、それとも俺に文句でもあるのか?」
「…」
海堂は面食らったように黙り込み、そして何かを考え込んでいるようだ。
やはり、何かあるのだろう。
「海堂…」
しばらく俯いて黙ったままの海堂に手塚は優しく言った。
「遠慮するな、海堂」
そう言いながら、海堂の肩をポンと叩く。
「いいんスか、言っても…」
俯いていた海堂の顔が真正面に手塚の顔を見上げた。
「ああ、何でも言ってみろ」
やっと話す気になってくれたのか、との安堵感から、手塚の顔が少し綻ぶ。
と、その次の瞬間、海堂は、肩に置かれている手塚の腕を掴み、そして力任せに手塚をロッカーに押し付けた。
ドン、ガタガタガタ…
海堂の咳きを切った行動に同調するかのように、ロッカーの上に置いてあったテニス部の荷物がガラガラと崩れ落ちた。
しかし、そんなことは全く意に介さないように、手塚の肩を、海堂の両腕が力いっぱい押し付けている。
そして、ものすごい形相で手塚を睨み付けている。
びっくりして、ロッカーに体をぶつけられた痛みもまだ自覚できていない手塚に、海堂は言い放った。
「好きなんだ、あんたが!」
「!」
「好きなんだよ、部長!あんたの事が」
「な、何を」
何を言っているんだ、海堂…、そう続けようとした手塚の唇は、海堂の激しい口付けによって封じられた。
肩には、一層の力が入り、手塚を締め付けている。
痛い。
痛いはずなのに、何の抵抗も出来ない。
荒々しく、激しい海堂の口付け。
何が自分の身に起こっているのか、まだ理解できない手塚であったが、体に走る5感だけが、静かに伝わってきた。
海堂に掴まれている肩の痛み。
顔に感じる海堂の息遣い。
自分の唇に押し付けられている、柔らかくて熱い、海堂の唇の感触。
そしてそれを実感したとき、手塚はその奇妙な感覚に意識を捕われ始めていた。
なんだろう、胸のあたりが苦しい。
これは…。
海堂は自分の舌を手塚の口腔に潜り込ませて、手塚を味わい始めている。
手塚の舌と絡ませ、美しく揃った歯列を右に左になぞる。
「うっ」
なんともいえないくすぐったいような快楽が手塚に襲い始める。
いけない、このまま流されては…。
僅かに残っていた手塚の理性が、やっとのことで海堂を自分の身からはがした。
「ど、どうしてこんな、こんな事をするんだ」
はあはあと、不覚にも息を乱しながら、手塚は言った。
「どうしてって、さっきも言ったように、俺は、あんたが、部長が好きだからっスよ」
「しかし、お前と俺は、判っているのか、男同士で…」
「そんなことは関係ねぇ、俺はただ、あんたが好きなんだ」
「…」
「好きなんスよ、部長、俺、前からずっと好きだった。男同士とか、あんたには迷惑だとか、そんなことは判っている。でも、もう、駄目だ。あんたの事が好きで、この気持ちはもう押さえられねぇ。あんたの事しか考えられねぇ」
「…」
「テニスの事も、スネイクの事も最近、駄目だ。俺、あんたの事ばかり考えちまって…」
「海堂…」
「すみません、勝手な事ばかり言って」
海堂の声はだんだん小さくなり、その体も誤るように手塚に向けて少しだけ頭を下げている。
「ここ最近、練習に身が入らなく、俺を睨みつけていたのもそういう事情があったからだったんだな」
「はい…」
「顔を上げろ、海堂。理由は判った」
顔を上げた海堂は、また手塚を睨み付けた。
「で、部長、あんたの返事は?」
「?」
「俺は自分の気持ちを言いました。他でもない、あんたが言わせたんだ。返事を聞かせて下さい」
「返事とは、つまり…」
「俺のことが、好きか、嫌いか」
「…」
「部長!」
「もちろん、お前の事が嫌いではないが、だが…」
だが、好きかと聞かれると即答できない。そう言ってしまうと、先程されたキスや、それ以上のことも容認しなくてはならない気がする。
正直、海堂とのキスは心地よかった気がするが、少し考えたい。
考えなければならないことがいっぱいだ。
「海堂、少し時間をくれないか?」
「時間スか」
「突然のことで、俺もいろいろ考えたい」
「…わかりました」
「なるべく早く返事を出すから」
「…いい返事を待ってるっス」
そう言って海堂は部室を出て行った。


あれから一週間経った。
いつもと変わらず、手塚も海堂も部活に励んでいる。
しかし、そろそろ手塚は海堂に返事をしなければならないと判ってはいるのだが、未だに答えを出せないでいた。
どうしたものか…
海堂の事は嫌いじゃない、むしろ、そのひたむきさに好感さえ持っている。
しかし、彼に恋愛感情があるのかどうか、といえば、判らない。
あのキスさえなければ返事は「ノー」だったのだろうが、キスされたことにより、手塚は判らなくなってしまったのだ。
あのキスを思い出す度に、顔が火照り、頭の中は真っ白になる。
見慣れているはずの海堂の練習姿も、あの日以来、眩しく見える。
バンダナを巻いて懸命に素振りしてしる姿も、きりっとした鋭い目つきも。
そして自分に重ねられた少々厚めの唇も。
キスされて、惚れてしまったのだろうか。
そして、もう一度あのキスを味わいたいと心のどこかで思っている自分に、手塚は困惑するのだった。


―トゥルルルル…
練習後の帰り道、手塚の携帯が鳴った。
きっと海堂だ…
「はい」
「部長、今、いいスか?」
「ああ、なんだ」
やはり海堂だった。
「今から、時間ありますか?話、あるんスけど」
「ああ、今、何処に居る?」
「公園っス」
「じゃ、今から行く」
まだ、答えが出てなく、今はあまり海堂に会いたくない手塚だったが、取り合えず海堂の居る公園に向かうしかなかった。

「部長」
海堂は公園の木陰に腰を下ろしていた。
「待たせたか、悪いな」
「別に、いいスよ、そんな事は」
「話というのは、この間の返事の事だな」
「そうっス、で、どうなんスか?」
「…」
「部長!」
煮え切らない手塚の態度に、海堂は思わず声を荒げる。
「判らないんだ…」
「え?」
「すまない、海堂、判らない」
「判らないって何が」
「お前に対して、恋愛感情があるのか、ないのか、判らない…」
「…」
あっけにとられた海堂は、しばらく黙って手塚を見つめていたが
「俺はあきらめねぇ」
「…?」
「俺がはっきりとあんたの気持ちを判らせます」
そう言うと、つっ立ったままの手塚を芝生の上に押し倒した。
そして手塚にキスし始めた。
「か、海堂」
もがく手塚にお構いなく、海堂はキスを続ける。
何回も。
「これでも判らないっスか、これでも…」
これでも、これでも、と言いながら、その度に海堂は手塚の唇に自分の唇を重ねていった。
最初のうちは抵抗していた手塚だったが、体が感じる、そのざわめくような快楽に全身の力が抜けていく。
もはや抵抗する意思も消え、次第に手塚は、その快楽に従順に身を任せていった。
やがて海堂が手塚の咥内に舌を潜り込ませると、手塚は自分の腕を海堂の頭に回して、もっともっとと海堂を求めた。
「答え、出たんスか、部長」
「か、海堂、俺は…」
「部長、好きだ」
「海堂、俺も、お前が、好きだ…」
そう言った事により、手塚自身、自分の気持ちをはっきりと自覚した。


学校に行けば毎日手塚に会える。
しかし、それだけではもう、物足りない。
手塚に触れて、キスして、そして抱きたい。
お互いの気持ちが通じて嬉しいのだが、そうなると次々と新しい欲望が沸き起こってくる。
あの日から、海堂は手塚と二人きりになるとキスしたりはしているのだが、それ以上は手塚が許してくれない。
無理やりキスして告白した海堂であったが、さすがにそれ以上進むとなれば、手塚が嫌がることを強要するのは胸が痛む。
でも、もう限界だ。
もともとあまり気の長くない海堂は、我慢も限界、今度こそ手塚を抱いてやると決意も新たに手塚に声をかけた。

「部長」
「なんだ、海堂」
「今度の金曜日あたり、デートしたいんスけど…」
「ばか、誰かに聞こえたらどうする」
手塚はきょろきょろと辺りを見回し、近くに誰かが居て、自分たちの話を聞いていないか確かめた。
今は部活中、他の部員達もいるというのに、そんな話をしてくるな、と手塚は海堂を制する。
「ちっ」
相変わらず堅い手塚の態度に海堂は舌打ちする。
この二人の関係は秘密にするという約束になっている。
「フシュゥー」
別に秘密にするのが不満な訳ではないが、自分の恋人に、こそこそ話しかけるのは性に合わない海堂であった。
「海堂、金曜は駄目だが、土曜はどうだ?家族が親戚の所に行くから家が空になる。
留守番しなければならない。来るか?家に」
周りを気にしつつ、小声で手塚は言う。
チャンス到来!
この機会を見逃す訳がない。
「行くっス♪」
「じゃ、早く練習に戻れ!」
手塚は早口でそういうと、嬉しそうに顔が綻んでいる海堂から離れた。


―ピンポーン♪―
インターホンの音も心なしか軽い。
胸がどきどきする。
今日は約束の土曜日。
手塚と二人きりの密室。
「はい」
「海堂っス」
「開いているから入って来い」
「おじゃまします」
礼儀正しく一礼して、海堂は手塚家に入った。
「ま、くつろいでくれ」
手塚の部屋に案内され、海堂は部屋に入った。
「何か飲むか、コーヒーか、紅茶か…」
「じゃ、コーヒーで」
「ちょっと待っててくれ、今、落としてくる」
インスタントではなく、わざわざコーヒーを落としてくれるらしい。
海堂は手塚を待ちながら、部屋を観察した。
小奇麗に片付けられ、余計な装飾品などは殆ど無いこの部屋は、いかにも手塚らしい。
「待たせたな」
持った来たコーヒーをテーブルに置き、手塚はベッドに腰掛けた。
海堂も他に座る場所が無いので、手塚の隣に腰掛ける。
「頂きます」
手塚の入れてくれたコーヒーは、ほろ苦くて美味しい。
「濃さ、いいか?」
「丁度いいっス」
「そうか」
なごやかに手塚は微笑んだ。
こうして二人のときだけ見せる手塚の笑顔。
その顔を見る度、海堂は幸せな気分になる。
海堂は思わず、手塚にキスした。
「ん…」
もう手塚も抵抗しない。
はじめの内はぎこちなかった手塚もだんだんと慣れてきて、自然に海堂に身を任せる様になっていた。
「そんなにうまいコーヒーだったか?」
唇を離して、手塚は自分もコーヒーを口に含む。
そして再度海堂に口付けし、コーヒーを海堂の口に移した。
「うまいっスね」
「そのようだな」
満足げな海堂を見て、手塚は、ふふっと笑った。
「あんたとこうして二人きりで居る時間が、一分一秒でも長く俺は欲しい」
「俺もだ、海堂、こうして二人でいるのっていいな」
誰の目も気にせずにいられる二人だけの時間と空間。
まったりとした時が二人を包み込む。
手塚は海堂の肩に寄りかかった。
その手塚のさらさらな髪を、海堂は優しく撫でた。
美しく整った手塚の顔が近くにある。
「部長って、ホント、綺麗な顔、してるっスね…」
「なんだ海堂、あまり嬉しくないぞ、そんなこと言われても…」
この人は自分がいかに魅力的か、自覚がないのか。
あまり自分の容姿に興味がないようだ。
そんな手塚の、容姿を鼻にかけない態度もまた、なんとも愛しい…
「そんな綺麗な顔、俺に近づけたら、俺、もう、我慢出来ないっスよ…」
そう言って海堂はおもむろに手塚をベットに横たえた。
「じゃあ、もう我慢しないでくれ…」

手塚の抵抗はなかった。
覚悟を決めてくれたのだろうか。
「部長…」
「海堂、俺を抱いてくれ…」
いつ頃からだろう、海堂をこんなにも好きになってしまったのは…
彼がそばにいないと、とてつもなく寂しい。
海堂のキスが欲しい…
海堂の匂いを嗅ぎたい…
ずっと、ずっと会いたくて、そばに居ても、もっとそばに居たい。

長い長いディープキスをした後、海堂は手塚の眼鏡を外した。
首筋に舌を這わせると、手塚は陶酔したような表情で顎を上げ、更に下へと愛撫を要求する。
そんな手塚の姿に海堂は魅了される。
「たまんねぇ」
なんてセクシーなんだ、この人は…。
セクシーな手塚の動きに誘われるままに、海堂は手塚の体に上から順々と丁寧に愛撫を重ねる。
「あっ、あっ」
ゾクゾクっとした快感が手塚の体を走る。
海堂は、一枚一枚丁寧に手塚の衣服を脱がせ、その都度自分も脱いでいった。
手塚の体が露わになる。
均整が取れた、その美しい肢体を見て海堂はうっとりする。
なんて綺麗なんだろう…。
男の裸体をこれほど美しいと思った事は無い。
海堂は手塚の薄いピンク色でつんとなっている乳首を優しく口に含む。
「あ、やんっ」
手塚が小さく恥ずかしそうに喘いだ。
その声も、なんともそそられる。
その声をもっと聞きたくて、海堂はたっぷりと乳首を自分の舌でコロコロところがし、舐め回した。
「ふっ、あ、あっ」
手塚は堪らなくなって、更に喘ぐ。
「部長、結構感じやすいんスね…」
「や、そんな事を言うな…」
手塚の反応に満足した海堂は、唇を更に、手塚の局部へと進めた。
「か、海堂、止めてくれ、やっぱり、それ以上は…」
反射的に、急に怖くなった手塚は、自分の中心部に海堂が触れた時、その手を掴んでそれ以上先に進まないよう、頼んだ。
だが、もう、海堂は止められない。
「ダメっス、俺、もう我慢できない…」
「しかし、これ以上は…」
いつもいつもキス止まりで、やっと今日出来るかと思ったのに、ここまできて止められるものか。
抱いてくれって言ったくせに…。
「部長、怖がらないで、大丈夫っスよ、俺、優しくするから」
「しかし…」
「大丈夫っスよ、それに、こんなになっているくせに」
すっかりと硬くなっている手塚のそれは敏感に海堂の愛撫に反応する。
「あ、あん」
「部長の体は正直っスね」
手塚の硬くそそり立っているソレは、先端から透明な液体を出し、海堂の愛撫を貪欲に欲しがっている。
「か、海堂」
「部長、愛してるッスよ」
海堂は手塚の脈打つそれを口に含んだ。
そして口の中でねっとりと舌を使って満遍なく愛撫する。
クチュクチュとした音が、手塚の興奮を一層煽る。
「は、あ、あっ、あっ、んん」
手塚の喘ぎ声はより一層、海堂をそそる。
海堂は執拗に手塚のそれを攻め続けた。
「海堂、駄目だ、い、イク…」
手塚は海堂を自分から離そうとしたが、海堂は動かない。
手塚を口に含んだままだ。
「あん、あん、ああああ」
頭がクラクラする。
もう、何も考えられない…。
手塚は仰け反ってそのまま果てた。

「海堂、すまない…」
海堂は唇の端から少し白い液体を垂らしていたがそれを縫った。
「全然、問題ないっス」
誰より愛する手塚のだ。
海堂は舌舐めずりをした。
ゾクッ
海堂のその仕草が、なんとも色っぽく、思わず感じてしまった手塚は、海堂が欲しくなり、口付けした。
舌を海堂の中に入れると自分の味がする。
今度は自分が海堂のを味わいたい…
自分でも信じられない欲望が出てきて、手塚は海堂の下半身に手を伸ばし、海堂のそれを手で触った。
優しく撫でていくとだんだんそれが硬くなってくる。
自分の行為で海堂が反応したのが嬉しくなり、今度は海堂がしてくれたように自分の口の中に入れてみた。
舌先を上から下へと這わしてみる。
「う、あ、んん」
海堂が喜んでいる。
「部長、うまいッスね」
海堂は手塚の頭を撫でながらその快感に耽っていた。
完全に海堂の欲望自身がそそり立ち、
「もうだめっス」
そう言うと、海堂は手塚をうつ伏せにして、腰を上げさせた。
「あん、海堂、何を」
「一つになるんスよ」
「あ、で、でも」
躊躇している手塚にはお構いなしで、海堂は高く掲げられている手塚の双丘を優しく撫でる。
「あん」
プルプルっと手塚の双丘が震える。
「全部丸見えっスよ、部長」
「あ、や、恥ずかしい…」
海堂は無防備に手塚の赤く色付いている秘部を指でそっと触れた。
「あ、あ、いやん」
「そんなかわいい声出されると、俺、もうおかしくなるっス」
海堂は、今度は舌を這わし、手では手塚の睾丸をやさしく触る。
ベルベットのような海堂の舌の感触と、くねくねと這わす海堂の舌技に、手塚は敏感に感じてしまう。
そんな自分がとても恥ずかしい…
「い、いや…」
いやと言いながらも、手塚の腰は自分でも気づかずに左右に振られ、海堂にもっと欲しいとせがんでしまう。
海堂の丹念な愛撫に、手塚の秘部はすっかり綻んでいた。
「あ、あ、海堂」
「欲しいスか、部長…」
海堂は中指を手塚に挿入してみた。
「う、あ、あ、あっ」
大丈夫そうだ。今度は2本にしてみる。
「う、うっ」
手塚の中は熱く、よく締まっていて少しきつそうではあるが、海堂は思い切って自分のモノを入れることにした。
「海堂、い、入れるのか?」
腰を上げたまま、手塚が不安そうに聞いてくる。
「一応、コレ、あるから使ってみるっス」
そう言って海堂はコンドームを取り出した。
「ジェル塗ってあるから少しは痛みが和らぐかも…」
海堂はおもむろにコンドームを自分のモノに着けて、手塚の秘部を再び愛撫し、そして手塚の中に、ぐっと入った。
「うっ、くっ」
ジェルが塗ってあるとはいえ、手塚はかなり痛そうである。
「部長、力抜いて、じゃないと余計痛いっスよ!」
言われた通りに力を抜こうとしているのだが、痛くてどうしても力が入ってしまう。
気の毒に感じた海堂は、必死に痛みを和らげてあげようと、手塚の少し萎えてきた欲望を手で愛撫した。
「う、うん、あん」
そうすると、徐々に手塚の中も緊張が解けてきて、ようやく海堂も少しづつ腰を動かすことができた。
だんだんとそのスピードを上げていきながらも、海堂は手塚の中の、一番感じるスポットを探し当てようと、いろいろな角度で腰を動かす。
「あん、あん、あっ、あっ、あっ」
そうして、手塚がある処で一層反応しているスポットを、遂に海堂は見つけた。
そのスポットをゆっくり突いたり、激しく突いたりしながら、しつこく攻め続ける。
手の方の愛撫もより一層スピードを上げ、手塚はすでにイキそうになっていた。
もう、何がなんだか判らない。
体の中心部から熱いものが全身に駆け巡る。
気持ちよすぎてトロけそうだ…。
「あ、海堂、もう、いやぁぁぁ」
手塚の中はビクビクし、中に入っている海堂をより刺激する。
こんなに感じるのは生まれて初めてだ。
その快感に海堂も耐え切れなくなり、
「う、イク」
と声を上げながらより腰を激しく動かし、そして遂に、手塚と海堂は共に果てた。


「部長、良かったっス、すごく」
海堂は、自分の腕に頭を乗せて、静かに目を閉じている手塚の横顔に向かって言った。
「ああ、そうだな、なんか、すごかったな…」
手塚も照れながら言った。
正直まだ、体に痛みが残ってはいるが、想像していたよりは痛くなかった。
海堂とこうしていられることへの喜びで、痛みもそう、気にならない。
「シーツ、汚しちゃったっスね」
「いいんだ、気にするな」
海堂の時折見せる、かわいい気遣いが手塚は嬉しい。
手塚は愛しそうに海堂の上半身をかるく撫で、そして肩にキスをする。
「部長、俺、なんて言うか、すごくあんたの事が好きっス」
海堂も手塚の頬にキスを返し、きつく抱きしめた。
「海堂、俺もお前が好きだ、言葉では表せないくらい…」
愛する者と結ばれた喜びが、いつまでも二人を熱く包み込むのだった。


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